多様なテイストのバトルスの評判

3人となった新生バトルスが打ち出した名盤「グロスドロップ」を、さまざまなアーティストも手腕によってリミキシングした作品が「ドロスグロップ」です。

 

オリジナルの評判は高く、従来のバトルスの実験的な姿勢を残しながらも、プログレ要素からの脱却が図られたような印象も受け、ポストロックといったジャンルには必ずしも収まらない自由なサウンドを展開した作品です。

 

これをさらに、多様なジャンルや音楽性を持ったリミキサーによって全曲にアレンジを加えられた「ドロスグロップ」には非常にたくさんの色が詰まっており、リミキサーそれぞれの個性を取り入れながら、「グロスドロップ」が持つアンバランスさや危うさを昇華して改めてバトルスの個性として再構築しています。

 

本国アメリカで12インチアナログ盤としてCDに先駆けて4枚にわたってリリースされた「ドロスグロップ」のうち、第2弾の楽曲は「Futura」「White Electric」「Africastle」の3曲。

 

そしてそのリミックスを手掛けた気鋭のアーティストは、「Futura」にはダンスミュージック界において敏腕プロデューサーとして評価の高いAlchemist、「White Electric」はアメリカのヒップホップ界で活躍するShabazz Palaces、「Africastle」にはベースミュージック・ダブステップレーベル「Hyperdub」をけん引するKode9をリミキサーに迎えています。

 

Alchemist
アメリカ・ロサンゼルスを中心に活動を行っている音楽プロデューサーであり、DJとしても名を馳せるアーティスト。アメリカで活躍する数々のアーティストのプロデュースを行って評判を得ているほか、自らもシングル・アルバムをリリースしています。
USヒップホップ界の雄・エミネムとも関わりが深く、その才能を認められています。自身のアルバムにも多数のゲストを迎え、ボーダレスな活動を行っており、バトルスとのコラボもそのような動きからつながっていきました。バトルスサウンドに重厚なブラックミュージック色を取り入れています。

 

Shabazz Palaces
アメリカ・シアトルで活動する2人組ヒップホップユニット。ヒップホップというカテゴリーでありながら実験的なサウンドを打ち出しており、サンプリングやエレクトロな音だけでなくパーカッションなども多用して重厚な音を作りだしています。
とはいえ、構成は複雑なものではなくシンプル。変拍子なども取り入れ、ヒップホップの枠にとらわれないながらも本来のブラックミュージックのルーツを感じさせる楽曲が特徴です。

 

Kode9
ダブステップの成り立ち、発展に大きく貢献したアーティスト、スティーブ・グッドマンのソロプロジェクト。ダブステップの代表的レーベル「Hyperdub」を運営しており、ダブサウンド、ベースミュージックを支えています。
ハイパーダブにヒップホップやテクノ要素などを取り入れた実験的サウンドでカオティックながら幅広い音楽ジャンルのファンに支持されています。