多様なテイストのバトルスの評判

実験的、前衛的でありながらボーダレスな音楽ジャンルとテイストの融合を目指すバトルスが放つ自身オリジナルアルバムのリミックス盤「ドロスグロップ」。このアルバムには、アメリカでリリースされた4枚の12インチアナログ盤には収録されていない楽曲が含まれています。

 

それは、日本のみならず世界を股にかけて挑戦的な音楽とパフォーマンスを展開するEye Yamantaka・山塚アイが手掛けるリミックス曲です。
もともとオリジナル盤である「グロスドロップ」には、バトルスのボーカル担当でありブレイン的立場でもあったタイヨンダイ・ブラクストンが脱退したことにより、残った3人で新たにボーカルなしの時点から立ち返って作り直したという経緯があります。その中で、今まで何となくあった音楽テイストの垣根がなくなっていって自由になったとバトルスメンバーがコメントしているとおり、仕上がりは従来のバトルスサウンドから重圧が解き放たれたようなものとなっています。

 

その立役者となったのは、外部から迎え入れたボーカリストたち。アメリカで活動するアーティストを中心にチョイスされましたが、その中で日本国内だけではなく世界に向けて音楽活動を発信しているボアダムスのボーカル、山塚アイ(アルバム参加時の名義はEye Yamantaka)も含まれていました。

 

攻撃的なボーカルと過激なパフォーマンスで知られていた山塚ですが、彼が繰り出す音楽性は非常に高く評判もよいもので、ノイズロックの中にもエレクトロな音やターンテーブルを駆使したDJプレイなどを融合させ、そのコアでカオティックな要素がバトルスにも受け入れられたのです。
そして「ドロスグロップ」ではオリジナルでボーカルとして参加した「Sundome」を自らリミックスすることとなりました。攻撃的な一面はばとルスサウンドに新たなスパイスを注入するのに成功しています。

 

音楽活動を行うに当たって名義を多様に変えているのが山塚の特徴であり、「グロスドロップ」ではEye Yamantakaとなっていますが、その他ヤマタカEYEや、EYEとのみ名乗る場合などさまざまです。これは、山塚が参加する音楽ユニットや企画が膨大かつ広範囲にわたるためとも考えられ、バンド時やDJ時、また他ユニットに参加する時などで適宜使い分けているようです。

 

日本では特に過激なパフォーマンスを行うことでも知られており、過去には警察沙汰すれすれの行為を行い各ライブハウスから出禁を食らうほどであったと言いますが、ボアダムス始め国内外で多岐にわたる活動を行うに当たってその攻撃性はなりを潜めていき、音楽においてもナチュラルな民族テイストを取り入れたものに変化しています。